平成26年度 新潟工科大学入学式 式辞


 本日ここに、ご来賓ならびに保護者の方々のご臨席を賜り、平成26年度新潟工科大学入学式を挙行することになりましたことは誠に喜びに堪えません。
 このたび、新たな決意を胸に新潟工科大学に入学された皆さんを心より歓迎いたします。また、これまで皆さんを支えてこられた方々のお喜びも如何ばかりかとお察しし、心よりお祝い申し上げます。
 本学は、平成26年度、創立20周年を迎えますが、この記念すべき年に皆さんをお迎えすることを心より嬉しく思っております。われわれは創立20周年を「第二の開学」と位置づけ、教育内容や教育方法のさらなる改善に取り組むとともに、学生のための福利厚生施設や設備の改修を行うこととしております。
 過去20年間にわたる本学の歴史は、平成2年9月、新潟県内258社の製造業経営者が、産業界及び地域の発展に貢献する技術者の養成を目指し、新潟工科大学設立同盟会を発足させたときに始まっています。設立同盟会の熱意が新潟県及び柏崎市をはじめとする78市町村を動かし、また、県内外の企業や個人から、3000件にのぼる寄付が寄せられた結果、平成7年4月、新潟県内初の工科系私立大学として本学は開学いたしました。開学以来の学部卒業生及び大学院修了生は3900人を超え、新潟県内外で活躍し、社会の発展に貢献しております。
 本学は、基本理念を「産学協同」とし、建学の精神を「ものづくりの視点を重視した工学教育に通じて、未知の分野に果敢に挑戦する創造性豊かな人材を育成する」と定めております。
 このような大学の理念及び建学の精神を踏まえ、教育目標に掲げているのは、ゆるぎない専門的知識と技術を修得し、広い視野と深い教養を身につけ、地元地域や日本、さらには広く世界で活躍する人材の育成であります。この教育目標を達成するため、最新の、工学の知識と技術を精選して体系的に編成し、基礎から応用までを段階的に学ぶことができる教育課程を提供するとともに、演習、実験及び実習を通じた、きめ細やかな指導により、学生一人ひとりの個性を伸ばすよう努めています。特に最近、3Dプリンターや3Dスキャナー、高度シミュレーションシステムなどを導入し、新しい時代のICT教育のための体制を整備したところであります。本学は、教育研究のための優れた施設や設備を備え、かつ、有能な教職員を擁しています。恵まれた学習環境を積極的に活用し、充実した学生生活を送っていただきたいと思います。
 現在、産業界が理工系の学生に求めているのは、ものづくりの知識や技術に加え、創造力や挑戦力、コミュニケーション力など、人間としての総合的な能力、すなわち人間力であります。産業界の要請に応え、本学は課題探求型の授業「工学プロジェクト(学内企業実習)」を開講しています。この授業では、経験豊かな企業人の協力のもと、異なる学科及び学年が混在する少人数グループが、与えられた課題の解決を目指し、グループワークに取り組みます。この授業を通じ、人間力をしっかりと培っていただきたいと思います。
 大学院工学研究科は、より高度な知識と技術を身につけた、創造性豊かな技術者の養成を目指しています。大学院においては、学生が主体的に研究に取り組むという点が学士課程と大きく異なります。指導教員は研究の方向性を示し、研究の進め方について指導いたしますが、研究を進めるのは学生自身であることを心に留めていただきたいと思います。
 さて、2010年5月、小惑星探査機「はやぶさ」が7年におよぶ宇宙の旅の途中、エンジンの故障や交信途絶などに見舞われながらも、プロジェクトチームの努力により、それらを克服し、ついに地球に帰還を果たしたときの感動はわれわれの記憶に新しいところです。「はやぶさ」の快挙は、「常に挑戦し続ける精神」と「決してあきらめない姿勢」の大切さを教えてくれました。
 「はやぶさ」の後継機として、前回の経験を活かし、装置の改良や設計変更が加えられた「はやぶさ2号」を、年内に打ち上げる計画が発表されています。「はやぶさ2号」の探査対象は、主に炭素からなる小惑星であり、生命の起源の探求を目指しています。この壮大な計画は、技術者たちの意気込みとわが国の宇宙技術の高さを示していますが、その源は、伝統的なものづくりにさかのぼることができます。また、その伝統を受け継ぐ日本の工学教育がその基盤を支えていると言っても過言ではありません。技術の粋を結集した「はやぶさ2号」のミッションの成功を皆さんとともに期待したいと思います。皆さんも、目標を高く掲げ、その達成に向け、日々の学びに精進していただきたいと思います。
 この3月で、東日本大震災から3年が経過いたしました。日本は未だ復興の途上にありますが、皆さんも、どのような側面から、復興支援に貢献することができるかを、これからの大学生活の中で考えていただきたいと思います。
 最後に、美しい自然に恵まれたこの柏崎の地で、皆さんが心身ともに健やかに学生時代を過ごし、自信と誇りをもって世界に羽ばたく日を迎えられんことを心より願い、ここに式辞といたします。

平成26年4月3日          
新潟工科大学長  
長谷川 彰