片麻痺者用筋電制御型
電気刺激方式に関する基礎研究
担当教員 村上 肇
筋電信号導出系の開発
(荒木 英彰)
筋電信号による比例制御方式の開発
(増田 竜一)
自分の研究テーマは、上肢片麻痺者の健側を自由に使える状態を保ちながら患側
を制御できるシステムの開発がもととなっている。そして、健側からの筋電信号を
増幅・平滑などして包絡線を得て、その平滑筋電信号を変換することで刺激強度を
決定し、パルスを発生して、患側を刺激し動作再建をする。この「機能的電気刺激
(FES)」に関わるものである。
また、健側からの筋電信号がある検出閾値を上回ることによって、患側への刺激強
度を制御する間接比例制御に基づいて、刺激装置に制御命令を送ることを考えなけ
ればならない。ここで、閾値のレべルが問題となってくる。閾値が高すぎると健側
が疲労しやすくなり、低すぎると通常の健側の動きの影響を受けやすくなってしま
う。そのため手関節背屈運動では、動作実現に当たり8%IEMGの筋活動が必要であ
るのでそれに閾値を上回るように設定することも考えなければならない。
これから自分がやっていくこととして、荒木君から送られてくる入力信号を時間
と振幅でいくつかの動作状態に分けて西村君に信号を送るプログラムを作ることで
ある。そのはじめの段階として振幅による動作状態の分類をするプログラムを作っ
た。それを使って簡単な実験をして筋電信号の状態が大まかにわかった。腕に力を
入れなくても筋電信号は微量(約50mV〜100mV)ではあるが発生している。その結
果、いくつかの問題点が出てきた。1つは閾値の間隔、1つはタイムラグの発生、
そして動作状態の組み合わせなどである。閾値の間隔については微量ながら出てい
る筋電信号のことを考えてθ1の値を決めることができそうである。他の問題点に
ついてはまだ、時間で動作状態を分けることをしていないのでそのプログラムを作
ってからのことになる。
今の段階では、このことを卒業研究として取り組んでいく。
アームロボットによる機能的電気刺激の模擬実験
(西村 直樹)
本研究では、片麻痺者の上肢動作再建のため、健側の筋活動の信号を導出し、そのデータから、
患側を模擬したロボットを動かすということを行う。
片麻痺とは、脳というような中枢神経系に傷害を被ると、上位からの運動指令が筋に伝達されないた
めに生ずる。こうして傷害者は、今までの生活ができなくなることがあり、介護者に委ねることが多く
なることが予想できる。ここで、傷害者が今までの生活に近づくため、また介護者の負担を減らすため、
よりよい装置を生み出さねばならない。
そこで、私は、健側の筋活動のデータをどのようにして処理し、どのようにして患側を制御するかを
実験を行いながら考察していく。
現段階では、ロボットの制御方法について実験中である。ロボットは、腕の上下、胴体の左右回旋、
手首のひねり、手指の把持開放の4自由度のものを使用している。
今後は、処理されたそれぞれの筋からの信号の入力があったとして、ロボットの動きをどのように
対応づけるかを考察する。