マツは古くから親しまれる樹木であり、海岸のマツ林、庭木、盆栽などは日本の伝統的な景色として古来より多くの人に喜びを与えてきた。ところが最近、マツ枯れ、もしくは「マツ材線虫病」の被害が増えており、周辺の環境破壊につながることで、美しい海岸風景が失われつつある。うち続くマツ枯れによって南西日本の多くのマツ林が消滅したのだが、最近は東北地方など寒冷地にも侵入する傾向をみせている。
 
マツ枯れの対策として防除法の代表的なものから薬剤散布があり、ヘリコプターからの「空中散布」が行われている。しかし、自然環境や生活環境のことを考え、効果的な薬剤散布を実行するために、それぞれの樹木において病虫害の程度や部位を的確に判定する事が望ましい。
 
研究では、生体情報工学的な方法を用いて樹木からの信号を検出し、それを処理して病虫害の程度や部位を的確に判定することを最終的の目的とする。植物からの情報計測の方法として、植物自体が発している情報を対象とされる。外部から電気信号を加えて応答信号を検出し、そこから樹木内部の状態を推定する方法を採用する。マツ枯れの生じた樹木は、侵入した「線虫」の存在や組織の破壊により通常状態に比べて樹木内の「インピーダンス」に変化が生じる。
 
基礎研究として、抵抗(R)、キャパシタンス(C)、インダクタンス(L)を用いての回路を製作し、測定器、Microsoft Excelを使い、電極の特性を調べている。