事業目的・内容

事業目的


(1)人材育成の方法

  1. 産学連携による教育のプラットフォームを設置し、産業界の将来のビジョンや基盤技術、大学教育の方針(ディプロマポリシー)を産学間で共有する。それらを踏まえて、育成すべき人材像を明確化する。
  2. プラットフォームではその人材像に基づき、“コトづくり”の実践による教育プログラムを開発し、地域中核技術者を育成する。さらには学生に新潟県内企業の魅力を伝え、地域定着を図る。

(2)事業終了後の目指す姿

 地域の基盤技術を基にコトづくり実践教育を行う人材育成プログラムを構築することにより、「企業がつくったものづくり大学」の教育のブランド化を実現する。併せて、中高生や保護者に対して就きたい職業に就ける大学であるという認知向上を図る。また、産学連携による教育を受けることにより、地域企業の魅力を知り、新潟県内企業への定着を図る。さらには新潟県内へのU・Iターン者を増やすため本プログラムを県外にも展開する。

事業内容


(1)産学連携教育プラットフォーム(産学連携教育協議会)の設置

 これまでの文部科学省事業等の産学連携教育の実績を体系化するために、本事業の基礎となる産学連携教育を推進する産学連携教育協議会を設置した。協議会は新潟工科大学産学交流会の会員企業を中心とした産業界の方々と学内教職員で構成されている。
 懸案となっている諸問題をテーマとして議論し、その検討結果からIR分析結果と総合し、本事業で行う教育プログラムの見直しを図る。

(2)学内体制の充実

 教育・学生支援担当副学長を中心とした産学連携教育本部を設置し、各事業の進捗を確認するとともに、産業界が求める人材育成を進めるため、外部のコンサルタントと連携し、産業界のニーズに基づく科目間連携や人材育成に関する教育改善研修会を企画実施する。さらに、事業推進体制を充実させ、事業の円滑運営を進める。

(3)産学連携教育プログラムの展開

  1. コトづくり実践教育の基礎
     コトづくり実践教育の基礎として、産学連携で課題を設定し、先進的な開発技法を活用したPBL実習を行うとともに、課題解決に必要な知識、理論を学ぶため、以下のプログラムを継続して実施する。
    • 先進的な開発技法を活用したPBL実習
       コトづくりを推進してきたシリコンバレーに学び、先進的なシリコンバレー型の開発手法・アジャイル型技法を活用したPBL実習を継続実施する。
       PBL実習では、「解が必ずしも一つではない」エンジニアリングデザインの観点から課題発見・課題解決に取組む。
      • シリコンバレー型の開発手法は「考える」よりも「行動する」ことを尊重し、「巻き込む力」も重視する。また、とにかく「プレゼンテーション」をたくさんすることから、これらの考えを反映させた学外者へのプレゼン機会を重視する。
      • アジャイル型技法とは、“素早い”や“俊敏な”という意味で、反復(イテレーション)と呼ばれる短い開発期間単位を採用することで、顧客を巻き込みチーム一丸となってプロジェクトを推進し、リスクを最小化しようとする開発手法である。実際に動く・実際に使えるプロダクトを重視してプロトタイピングを繰返し、変化に柔軟に対応し、チームの協調と個人の活躍を動機づけ、プロダクト価値の最大化を志向する。
    • 地域技術を活用するためのAI基礎技術講座
       地域企業を取り巻く環境は大規模化、複雑化しており、地域における製品やサービスに新たな価値を見出し、課題解決を図るためにはAIの活用は不可欠である。そのため、本学が構成員である新潟県IoT推進ラボや柏崎市IoT推進ラボと連携し、AI技術の基礎から、AI活用に必要な基礎知識や基礎理論などを学ぶ「IoTとAIの基礎」(2年次)を開講し、AI教育の実践を図る。
       併せて、柏崎IoT推進ラボと共催し、地元中小企業技術者を対象にAI講座を継続開講する。
    • ビジネスモデル構築力育成講座
       コトづくりを行うために必要な基礎力として、現在、本学のカリキュラムでは「統計学」(3年次)が設置されている。本事業では、ビジネスモデル構築力の育成として、さらにイノベーター育成のための講座「イノベーターとビジネス構築力」を全学教育として開講し、関連教育の充実を図る。
  2. コトづくり実践教育の探究
     前述のPBL実習の経験が、主体性を求められる長期インターンシップに必要な基礎を育むことにつながり、その上で企業見学等により企業の魅力を知り、加えてインターンシップで企業の実態に沿ったコトづくりの探究を図っていく。具体的には以下のプログラムを企画実施する。また本学のインターンシップの体系化を進める。
    • インターンシップ
       3年次生が履修するインターンシップ(2週間)のプログラムの質を高めるため、産業界との情報共有・認識統一を図り、中小企業からも積極的に学生の受入れを可能とするモデルプログラムを開発する。なお、本プログラムは中小企業においても自社の社員教育に有益なものとなることを目指す。そのためには、中小企業それぞれの特徴を可視化する必要があり、後述の企業技術データベースを活用する。
       また、インターンシップの一つの形態として、本学の特徴を活かした「冠講座インターンシップ」を継続実施する。
      ■「冠講座インターンシップ」とは、企業のサテライト研究室を学内に設置し、企業の課題を卒業研究のテーマに据え、研究課題の進捗に応じて企業と大学を数週間毎に行き来するインターンシップ型卒業研究である。
    • 企業見学
       1年次生を対象に事前学習を経て県内企業の見学会を行い、その経験を基に学内説明会等を通じて、各業種に対する知識の幅を拡げる。それと連動し、1年次生が企業見学と学内説明会の経験を踏まえた知識を実証する場として、学内インターンシップ(実務家による企業課題ワークショップ)を実施する。併せて1~2年次生向けに自治体と連携した糸魚川市や佐渡市、新たに燕市での地域インターンシップ(地域で働き、暮らすことの魅力を知る)を実施する。
       また、これらの活動を基に、「オンキャンパス企業見学会」(大学に居ながら複数社の企業見学を行い、かつ、企業研究した学生がその企業の方同席のもと、技術を下級生にプレゼンする機会)を開催し、企業の技術や魅力の認知を高める。
  3. コトづくり実践教育のインターフェイス
    • 自己評価システムの活用
       主観的評価と他者評価(実務家評価を含む)を総合した本学の「到達度自己評価システム」を活用することにより、学生が自己の成長を実感しながら学修のPDCAサイクルを回す。併せて人間力向上を定量的に評価するための、文部科学省事業で確立した内製アセスメントと外部のアセスメントを導入し、指導に活用する。
       さらにディプロマサプリメント(学修成果を客観的に提示する学位証書補足資料)を産業界のニーズに則したものとして作り上げる。そのうえで、蓄積した学修データを反映させる。ディプロマサプリメントは、学生が自己の成長を企業に説明するための根拠資料となり、また、企業は採用のミスマッチを防ぐことができる。
    • 基盤技術データベース
      •  地域や産業界に本学を有効に活用頂くために、一般の方々にも分かり易く、また、専門技術者には必要な情報を詳しく伝えるために、本学が持つ知的資源(教育内容、研究シーズ、社会人スキルアップ教育、所有設備・機器)をデータベース化し、情報発信を行う。
         また、大学リソースデータベースを通じての技術相談・共同研究等は10件以上を目標とし、地域企業の技術力向上に貢献する。
      •  新潟県内には優れた基盤技術を持った企業が多数存在するが、学生は知り得る機会が少ないことが現状である。県内企業300社以上の基盤技術を中心としたデータベースを構築し、基盤技術の融合を学生が考える機会とするほか、インターンシップのマッチングや就職に関する企業研究に活用する。また、本学の卒業生にもデータを公開し、県外に就職した卒業生がUターンを希望する場合や第2新卒者の就職支援による県内定着にも活用する。

(4)県内企業の現状・国内外の大学や企業の事例の調査

 県内企業へのヒアリングやアンケートを実施するほか、先駆的事業を展開している国内他大学、米国の産学連携教育事例や先進的な開発技法、優れた社員教育を行っている企業等をベンチマークし、本学の教育手法の幅を拡げる。また、県内企業が使用している業務ツールを調査し、教育に反映させる。

(5)情報発信

 本事業の取組みを専用ホームページやリーフレット、シンポジウム等で適切に発信し、地域が求める人材の育成と県内企業への定着促進につなげる。併せて、学会等において発表を行い、県内外に取組みを周知する。

  • 企業:本事業の取組みを理解してもらい、本事業への協力を促す。
  • 高校生・保護者:本学の産学連携教育を知ってもらい、地域産業界を支える中核技術者を育成する大学としての認知度向上を図る。
  • 小・中学生:技術者として働くことの魅力を伝え、理系分野への関心を持たせる。

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事業目的・内容

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