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【コラム】新型ウイルス感染症対策と空気の流れについて(5)

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【コラム】新型ウイルス感染症対策と空気の流れについて(5)

新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛やスポーツ施設などの閉鎖が続いており、ジョギングをする人が増えているようです。何度も書いているように、ウィルスの感染経路の可能性には「飛沫感染」、「接触感染」、「空気感染」の3つがあります。ジョギング時の接触感染のリスクは特に変わりませんが、屋外なので、空気感染のリスクは低いです。しかしジョギングするときにマスクをする訳にはいかないので*、飛沫感染には注意が必要です。

その(3)で紹介したシミュレーション結果で示した通り、お互いの距離が2m離れていれば、咳をしたとしても飛沫の大半は地上に落ちて感染リスクが大幅に減少すると考えられています。しかしジョギングなど運動している状態では、このような通常の社会的距離(social distance)は十分でない可能性があります。

当センターのアドバイザーでもあるBert Blocken教授(オランダ・アイントホーフェン工科大学)は、ANSYS(アンシス)と共同でジョギングランナーから飛散する飛沫の軌跡を解析したシミュレーション結果を公開しています。

(シミュレーション資料の提供:Ansys,Inc.)

この結果によれば、二人のランナーが横並びで走っている場合は感染リスクはそれほど高くありませんが、前後に並んで走っている場合には、一般的に考えられている適正な距離(この解析では会話時を想定して1.5m)だけ離れたとしても、前方のランナーから発生する飛沫がかなり後方のランナーに到達しており、感染のリスクが高いことが分かります。もし前方にランナーがいる場合には、真後ろではなく、斜め後ろの位置で走る方がよりリスクが低くなります。Blocken教授の論文によると、会話状態のお互いの距離1.5mは、歩いている状態では約5m、走っている状態では約10mに相当するとのことです。

なおこれらのシミュレーションは、特定の状況下での物理的な挙動を再現するようにデザインされたもので、必ずしも医学的な根拠があるものではありません。またその場所を吹いている風や温度、湿度などの環境要因は考慮されていませんのでご注意ください。

*京都大学iPS細胞研究所・山中伸弥教授は、ジョギング中もマスクの着用を呼び掛けています。

新型ウイルス感染症対策と空気の流れについてのコラムは、この5回で一旦一区切りとさせていただきます。今後新しい情報が得られましたら、随時、情報を発信をしていきたいと思います。

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