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【コラム】新型ウイルス感染症対策と空気の流れについて(4)
マスク不足が問題になっていますが、マスクの効果について、風・流体工学の視点から考えてみましょう。
その(1)で書いたように、ウィルスの感染経路の可能性には「飛沫感染」、「接触感染」、「空気感染」の3つがあります。まず「飛沫感染」については、マスクによって咳やくしゃみ、発声などによて飛散する飛沫が抑えられますので、感染者(あるいは疑いがある人)は絶対にするべきであることは、その(3)で示したシミュレーション結果からも明らかです。
マスクの飛沫飛散への効果が映像で確認できます。
[NHKスペシャル] マスクの効果 | 新型コロナウイルス“マイクロ飛沫(まつ)感染”からわかる予防
次に「接触感染」ですが、人は無意識のうちに口や鼻を触ってしまうことがありますので、マスクはそのような手からの接触感染のリスクを低減する効果が期待できます。では、「空気感染」については、どうでしょうか。実は、空気感染に対するマスクの効果はあまり大きくありません。
その(1)で説明した通り、空気感染は空気中を漂う非常に小さな粒子(エアロゾル)に生存中のウィルスが付着している場合に起きると考えられています。このようなエアロゾルは、一般的なマスクの網目よりも小さいですし、以下の記事にもあるように、マスクをしている状態で人間が吸い込む空気の大半は、マスクの脇の隙間から入って来ているので、マスクがウィルスを捕捉してくれる訳ではありません。空気感染対策として大事なのは、マスクよりも換気です。
つまり、手指の消毒をきちんと行い、人とある程度離れた状態であれば、自身の感染防止対策としてマスクをする必要性は実はあまり高くありません。しかし自身が感染している可能性もあることを考えれば、各人がマスクをすることは社会全体の感染拡大防止の観点で重要であると言えます。
マスクの意義についてのより詳しい解説は以下の記事を参照してください。
(東洋経済オンライン記事)
今後も新型ウイルス感染症対策と空気の流れについて、情報を発信をしていきたいと思います。