建築都市学系生活環境・空間デザイン研究室
黒木 宏一准教授
KUROGI Hirokazu
高齢者の生き生きとした暮らしを支える建築や地域を考える
研究の内容を教えてください。
これからの高齢者の暮らしが豊かになるような施設や地域環境を中心に、研究・リサーチを行っています。最近では学生の卒業研究テーマとして、地域の体育館を利用する高齢者の動向を調査し、既存の施設を高齢者の暮らしの中にどう反映させ、老後を生き生きと暮らせる環境となるかを検討しました。このほか、アクティブシニアと呼ばれる元気で趣味の多い高齢者が、いつまでも住み慣れた地域で生涯現役で暮らしていくための施設はどういうものであるかを調査し、これからの建物の計画に活かす研究も行っています。つまり、高齢者が培ってきた能力や趣味をリタイア後に生かせる場づくりを追求するのが、研究テーマです。これまでの考えで建てられてきた建物を、これからの社会に対応できる形に変えていくことを目指しています。
建築の魅力を教えてください。
建築は一番身近なもので、誰もが日常的に使うものです。そうした建築のあり方を少しずつ変えていくことで、社会も大きく変えていく力となります。建築の魅力は、そこにあると思います。研究内容が、高齢化社会へのアプローチへとシフトしてきたのはそういった発想からで、建築に携わる者として、高齢者の関わる施設をより良いものにしていくことが、超高齢社会を支えることにつながると考えたのです。基本的な家から始まり、街が作られ、生活の場で必ず接しているものを自分で設計してみたいと思ったのが、私の建築分野への入口でした。建築の世界は、建物の企画から設計、施工、施設利用のソフト的な提案、広くはまちづくりまで幅広く展開できる、おもしろい分野ということを知ってほしいですね。
研究室はどのような雰囲気ですか?
仲の良い、学生が主体の研究室です。研究テーマは、それぞれの学生が興味のあるものを何でも持ち寄り、みんなでディスカッションしながら絞りこんで決めています。私の研究室では、卒業研究に取り組む学生と卒業設計を取り組む学生とに分かれますが、全国の卒業設計を対象にしたコンクールでは上位に入賞する学生もいて、「設計をやりたい」と言って入ってくる学生がたくさんいます。それぞれの研究や設計に取り組みながら、超高齢社会への視点に気づいてもらえればよいと思います。
学生が卒業後も年に一度くらいは皆で集まって、楽しい時間を過ごしています。社会人となってからは自由に設計できた学生の頃とは違い、納期や金銭面などさまざまな制約が出てきて、そのギャップに悩んでいるという話しを聞くことがあります。それがリアルな建築の世界であり、本当の意味で建築の勉強になっていると思います。これから入学する皆さんも、限られた時間ではあるけれど、新潟工科大学で自由にやりたいことを追究してほしいと思います。
建築に向いているのはどんな人ですか?
問題意識をしっかり持って、今の世の中は、どういう建築の在り方がよいのかを自問自答できる人ではないでしょうか。日々の暮らしの中でさまざまなことを感じたり、社会のあり方をしっかり見つめながら、今の社会や建築の問題を見つけ、建築的な解決を目指すことが大事だと思います。何より、ものづくりがしたい、自分の手で何かを作ってみたいという気持ちがあることが一番です。
受験生の皆さんへ | 新潟工科大学は理系・工業系と思って数学や物理がストッパーになっている人もいるかもしれません。本学には基礎科目をサポートしてくれる教育センターがあり、パーフェクトに数学・物理ができないとしても基本を身に付けることができます。建築の分野では、研究などで数学・物理をほぼ使わない研究室もあります。街づくりや企画など幅広く活躍できるのが建築の分野です。無理だと決めつけずに、興味を持っているならぜひ入学を検討してみてください。 |
---|---|
研究に関する情報 | 教員紹介 研究分野・テーマ 研究業績等一覧 研究室ガイド 関連サイト |
関連するSDGs |