ものづくりに夢中な先生08
機械システム学系
医療・福祉工学研究室
寺島 正二郎教授
新潟工科大学の開学当初から発展を見守り続け、学生に寄り添う。「先生と学べたから、大学生活が楽しかった」と教え子たちが全幅の信頼を寄せるのが医療・福祉工学研究室、通称「Tera研」の寺島正二郎教授。教員になる前に聞いた、「お前がエンジニアとして良いモノをたくさん作るよりも、100人のエンジニアを育てて、その教え子たちが良いモノをそれぞれ作ってくれたら、間接的にもっとたくさんの良いモノを作り出すことになる。これがモノづくりとか、ヒトづくりということなんだよ」という恩師の言葉が、今も心に残っているそうだ。教育者として、学生の可能性を引き出そうとする熱い姿勢の理由がそこにある。
「研鑽を重ねているのは、医療、福祉、手術の現場で使える機器の開発だ。最近は、血栓を予防する装置に取り組んでいる。例えば人工関節の手術後、膝下にできる血栓を防ぐために予防装置の装着を行う。現在、病院で使われているのは空気圧式が多用されているが、エアーポンプの駆動音のほか、血液の改善効果の高さなどに課題がある。そこで「Tera研」では、筋肉を微弱な電気の刺激で動かすことによって、本来の血液ポンプ作用を再現することから血栓予防を目指している。併せて、骨折予防のヒップパッドや、大型病院内での案内装置の研究も、同時に進行している。工学的な応用を医療福祉現場で活かそうとする研究テーマも、学生たちの学ぶ意欲をかきたてるのだろう、研究室を決める時期「Tera研」の人気は高い。
工学の基礎研究は、大変な苦労を伴って膨大なデータを蓄積するけれど、すぐに使えてすぐ役立つかというとそうではない。一般の人にとっては、何に役立つかわかりにくいこともある。でも、こういう時に役に立ちますと言い切れる医療・福祉工学のものづくりは、誰にとってもわかりやすくておもしろいそうだ。実験は失敗の連続かもしれないが、負けない気持ちをキープできる鈍感力も研究者には必要だと寺島教授は言う。高校卒業後の2年間は厨房や建設業での仕事を経験した後、大学に入学し、大学院を経て研究職に就いた異色の経歴を持つ寺島教授。いろいろな経験が血や肉となるという言葉には説得力がある。
Interview
学生インタビュー
この大学で一番信頼できるのが寺島先生でした。人気があって、研究内容も興味が持てるものだし、2年生3年生の授業も楽しかったから、ここを選びました。研究でつまずいても、丁寧に教えてもらえるので頼りがいもあります。どんな話題にものってくださるし、面倒見がすごくいいのでありがたいのですが、たまには休んでほしいなと思う時もあります。卒業後は、先生が自慢できるような社会人になりたいと思っています。