ものづくりに夢中な先生02
建築都市学系
生活環境・空間デザイン研究室
黒木 宏一准教授
卒業制作で新潟県内や全国コンクールの上位に食い込む成果を上げている研究室のリーダーが黒木宏一先生だ。超高齢社会に対応した施設・暮らしを長年研究している。自身が大学4年生の時に介護が必要になってしまった祖母のために、役に立つ建築を目指したいと思ったのが、この分野に進むきっかけになったという。「Kuro Labo」の学生たちは、卒業研究テーマを決める時に建築設計制作か研究論文を選ぶ。どちらにしても、社会問題を背景とした高齢者や子ども、障がい者に対応する建築的提案を行っているのが一番の特徴だ。
「老後を生き生きと暮らすために、生活の仕方を工夫し趣味を通じた人間関係を築いておくなど、どう生きていくかという考え方が大切」と学生に伝えている。設計とは別に、高齢者のこれからの暮らしの在り方についても研究を進めている。開隆堂出版『楽しもう家政学』の4章に、その研究の一端が寄稿されているので読んでほしい。人生100年時代を迎えるにあたり元気に暮らすために何が大事なのかという“暮らし方のデザイン”を広めていくことと、高齢者施設を自ら設計してみたいというのが黒木先生の夢である。
黒木先生と学生の関係は指導者と教え子というより仲間だ。先生の自宅に学生が集まり本音で語り合い、そこで新しい研究や設計のヒントが生まれることも少なくない。自分は学生がやりたいことを見つけるための、引き出し役だと考えている。「研究室の学生はゼミで僕や院生に厳しい質問をされても、物おじすることなく熱い思いや考えをぶつけてきます」と言い、学生が伸び伸びと学ぶ姿勢がうかがえる。また、高齢者施設の入居者や介護スタッフと直接話す時間を大切にしている。人との繋がりこそ研究の原動力だ。
Interview
学生インタビュー
黒木研究室は自由でアットホームな、雰囲気の良い所です。卒業設計で虐待という重いテーマにしたのですが、逆に子育ての大切さを感じさせる建築的提案になるとアドバイスをもらい、暗くなりがちだった気持ちが楽になりました。学生の目線に立って話し合ってくれる先生です。