機械システム学系医療・福祉工学研究室
寺島 正二郎教授
TERASHIMA Shojiro
実利用まであと一歩!?電動車椅子を舌の動きで運転する
研究の内容を教えてください。
医療・福祉機器の開発をしています。医療・福祉機器の多くは、ローテクなものを使っているのが現状です。最近、レントゲンやMRIなどの診断装置は進歩してきていますが、手術器具や福祉機器などはまだまだ未発達であり、必ずしも使いやすいものばかりではありません。そこで、私たちは少しでも障がい者や高齢者、種々の患者さん方のためになるように、また医師たちが使いやすく、より良い医療が施せるように、この分野の研究・開発を行っています。具体的には、骨折時にプレートを入れる際に使う手術器具や、頚椎損傷などによって首から上しか動かせない障がい者のために、舌先で電動車椅子やパソコンを操作できる口腔内リモコンを開発しています。企業や医療福祉施設から相談を受けて研究開発が始まることが多いのですが、全て上手くいくとは限りません。当然のことながら手術中の故障はあってはなりませんし、高齢者にとって操作が難しい機能は利用していただけません。ですから、利用者にハイテク要素が見えないようにする技術もまた重要なのかもしれませんし、それがこの分野の難しさであり面白さでもあります。
口腔内リモコンについて詳しく知りたいのですが。
手も動かせない方にとっては、電動の車椅子さえ操作が困難です。手の代わりに音声や目で操作する方法も考えられますが、音声の場合は、何気ない会話の中に「右」や「左」などの動作方向に関係する言葉が入ると、車椅子が反応して動いてしまうことがあります。一方、目の動きを利用した場合は、交差点での左右確認の際に目の動きに車椅子が反応して動いてしまい、非常に危険だということがわかりました。顎でミニジョイスティックやセンサーを操作する方法もありますが、私の研究室では、より確実に操作するために舌先で口腔内のリモコンを操作する方法を選んで研究しています。これによって電動車椅子やパソコンの操作が容易になります。市場に出ることになれば、多くの方のお役に立てると信じています。
医療・福祉工学研究室の特長は何でしょうか?
毎年多くの学生が、この研究室に入ること希望してくれています。中には、他大学を卒業してから大学院生として学びにきてくれる学生がいることは、嬉しいですね。一般的に大学は、ある専門知識を突き詰めていくものですが、医療・福祉工学研究室では、様々な分野の知識や技術を集めなければ進歩させることができない研究を行っています。将来、ここでの研究が実社会でそのまま役に立てなくても、自分が興味を持った職場に就職した際に、ここで学んだ知識や経験を活かして活躍して欲しいと思っています。医療・福祉を学んだからといって、必ずしも医療メーカーに就職して欲しいとは思っていません。いつも話していることですが「人の役に立つ、人のためになる、いい仕事」をして欲しいと思っています。
学生のどんなところに期待していますか?
医療・福祉工学は、今後ますます必要とされ発展を期待されている分野です。研究開発した用具あるいは機器を使って、障がい者や高齢者の方のできることが増えれば、仕事など社会参加の機会が多くなります。また、社会参加の機会が多くなれば、その方たちは世の中の役に立っていると感じ、やり甲斐を持つことができます。そこで、研究開発を通して、障がい者や高齢者の方の「やり甲斐」や「生き甲斐」を学生と一緒に作っていきたいと思っています。学生には、ハードルが高すぎるかなと思う卒論テーマを投げかけることがありますが、苦労しながらも、一つひとつ問題を解決して、結果を積み重ねていく姿に大きな成長を感じます。何に対してでも良いので、興味、夢や希望を持った学生たちの成長は早いものです。ですから、色々なものに興味を持ってチャレンジすると共に、大きな夢を掴んで欲しいと思っています。
受験生の皆さんへ | 少しでもヒトの役に立つことを一緒にやりましょう。ヒトのためになることは素晴らしいこと。30年後、皆さんの親と同じくらいの年齢になって、今の自分と同じくらいの子どもに「お父さん格好イイな」「お母さん頑張っているな」と言ってもらえるような大人になるために、早く夢を見つけることが大切だと思います。ヒトのためになる、やり甲斐のある仕事をするために一緒に夢を見つけませんか!?ひとつでもふたつでも、私の研究室で拾い集めてもらえたら嬉しいです。 |
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